みんな〜アカデミックポストが欲しいか〜!(その2)

 昨日は大学の職制が、従来の『教授、助教授、常勤講師、助手』から『教授、准教授、常勤講師、助教、助手』に変わる、という話だった。そして呼び方が変わるだけでなく、新しい『助教』は将来の准教授・教授候補としての研究者という扱いであり、新しい『助手』は一般のイメージの実験助手や技官という扱いである。そして若手研究者にとって重要なのは、この「助教」ポストが、従来の「助手」ポストとは大きく異なることが問題なのだ。
 国立大学の独立行政法人化は、いわば公務員のリストラ計画の一端である訳で、大学の経費削減や人員削減などが常に叫ばれ、また反対意見も噴出している。ところで大学で人員削減が実施される場合、一番問題なのは何だろうか?そう授業なのだ!大学の授業は一端開講されると、簡単に失くすことは難しい。勿論これは大学を運営する上層部にもよるのだが、大学教員の第一の義務は授業をきちんとこなすことなのだ。また大学教員のリストラとは言え、いきなり肩を叩いて「辞めてくれる?」などと言えるはずも無く、穏便な方法としては定年退職された教員の補充を行わない、という手段が多く用いられるようだ。教員総数が減ると教員一人当たりの授業担当数が増える。そうすると個人の研究だけでなく、自分が担当する卒業研究生(4年生ね)の面倒を見ることも難しくなってくる。そこでどうするか?従来講義が出来なかった「助手」を「助教」に引き上げ、「助教」は講義が出来ることにするのだ。これによって教員数減少の弊害を補おうというわけ。
 ところがこの新しい『助教』という役職は「任期制にすることが望ましい」とされている。現在国立大学法人は5〜6年の中期計画目標を軸に運営されているため、「助教」に任期が付くとすると、おそらく5年になるだろう。つまり5年たったら自動的にクビを切られる(いささか問題のある表現だが)のである。つまり今までは講義無しで任期無しだった「助手」ポストが講義義務で任期5年の「助教」ポストに様変わりしてしまうのだ。これは「助教」というポストが今までのポスドク研究員なみ、いや寧ろそれ以上にハードなポストになることを意味している。結局「助教」は任期の長いポスドク研究員と何ら変わらなくなってしまうのだ。勿論あくまで常勤職なので福利厚生については今まで通りだろうが...
 
 改めて天文学業界を省みると、今までは『35歳までにどこかの「助手」につければラッキー』、という状況が『40歳までにどこかの「准教授」につければラッキー』という状況になる訳だ。これから天文学研究者を目指そうと思っている諸君、40歳まで定職に就けないというこの状況を知ってなお、天文学研究者になりたいかね?それでも「なりたい」と言うならばpuncponkはもう何も言わない。死にもの狂いで勉強し、研究業績を出して、そして自分自身をきちんと売り込んでアカデミックポストをゲットしてくれ。諸君の健闘を心から祈っている。