助教使い捨て制度まで秒読み段階

先日、またまた憂鬱なニュースを聞いた。多くの大学で「教授、准教授、常勤講師、助教(、助手)」制となり、しかも大抵のケースで「助教」の給料は「助手」と同じとし、さらに「助教」は教室構成員にするケースが多そうとのことだ。教室構成員とは従来の教授・助教授・講師である。教授会への出席、各種委員などの割り当てが義務であり、講義をはじめ卒業研究指導などの責任を負う方々である、建前上は。。。今までの助手は本来上記義務が無い。せいぜい講義の一部や演習の一部、実験の一部を補佐する程度である。まして卒業研究生を担当することは有り得ない。しかし多くの理工系学部では、実際は助手が講義・演習・実験を担当している。おそらくこれが外部へ出たら、その講義・演習・実験に対しては過去に遡って単位が出なくなり、上層部は間違いなく責任を追及されるだろう(マジで)。つまり現状において、助手という地位にいる研究者は、本来義務ではない業務を大量に背負わされている。そして「助手」であるが故に、それ以上の雑用をも、さらに背負わされるのである。

 ここで多くの大学の方法にのっとって「助手」が「助教」になると何が起こるか?簡単である。従来の助手が助教になることで、今まで文系学部の目を盗んで助手に行わせてきた、講義・実験・演習を堂々と行わせることが出来る。さらに教室構成員にすれば、各種委員などに任じることもできる。現在大学や研究所は教授の定年退職の後を人事凍結することで、人員削減に対応している。従って、実際に減った分の授業を担当する頭数がどうしても必要なのだ。それを公に助教に押し付けることが出来るのだ。しかも助教の給料据え置きで、である。

現在の助手からみれば、これはたまったものでは無い。公に裏に多数の講義・実験・演習、卒研指導を担当している上に、他の雑用も降ってくるのだ。当然それらに関わる責任も重いものになる。しかし給料はそのままだ。しかも新制度のもとでの助手(本当にお手伝い、研究は全く義務ではない)が新たに採用されるわけではない。従って今まで担がされてきた雑務は、引き続き助教が引き受けることになる。これで任期が付いたらもう何もできない。ポスドクの方がよっぽど研究できる。昇任の際には論文を要求するくせに論文を書く時間を一方的に奪い、雑用に使わされる。そしてその雑用で教室や学部、大学は文科省に大きな顔をしてアピールするくせに、それに携わった助教を内部では評価しない。全く矛盾したことである。さて内部昇任を狙うか、外へ出るか、そろそろ考え時だ。