時にはいつもと違う話題で

 相変わらず忙しい。まぁしかしある意味仕方がない。これは給料のうちなのだ。

 さてオフィスで仕事をしていると、しばしば研究室の電話が鳴る。特に私の職場の電話は外部からも直接コール出来るので、受話器を取ったら研究とも事務仕事とも全く無関係な勧誘電話であることも結構ある。研究者を狙って勧誘電話をかけてくるのは、不動産関係のものが多い。今の職場へ異動して来た当時は、前任者を名指しで「●●先生の研究室ですか?」と聞いてくるケースが多かった。最近は私を名指しで直接聞いてくる場合が多い。なるほど最近の職員名簿をどこからか手に入れたのだろう。ある場所で研究者の仕事先の電話番号などが公開されているという話も聞いたことがあるが本当だろか?嫌な話だ。そう言えば大学時代の友人が、同学年の名簿が数万で売れた、と言っていたが、私の職場でも誰かが名簿を売ったということか?まぁいい、今回のメインは名簿を売る話では無い。

 さて不動産勧誘の電話に対する対応だが、着任当時はもともと出してくる名前が違うのだから「いえ●●先生は既に異動されました」と言えばそれで良かった。一件だけ、さらに「では後任の方ですか?」と聞かれてついつい「そうです」と応えてしまって、しばらく勧誘電話を繰り返し受けるハメになったこともあるが、これも「忙しい」「非常に忙しい」「寝る間も無いくらい忙しい」と頑なに断り続けたので、やがて沈静化することが出来た。念のために言っておくが「忙しい」のは決してウソを言っている訳ではない、純然たる事実だ。そして最近の私を名指ししてくる電話に対しては、当初「不動産の購入を考える経済的余裕が無い」「研究者もリストラされそうな状況なので大きな買い物をするつもりはない」などと応えていたが、先方もさるもので「経済的に余裕があるかどうかは問題では無い、良い物件を提供できるタイミングを(あなたが)得たいうことが重要なのだ」と論点のすり替えとでも言うべき対応をされてしまう。ちなみに以前自宅にかかってきた勧誘電話(やはり何かの名簿に頼ったようだが、先方は明らかに私を他の誰かと勘違いしていたようだ)に対して、論点のすり替えを指摘したら逆ギレされてしまった。後で調べたら最近は強引な不動産勧誘が多いらしい。本当にひっかからなくてよかった。閑話休題。こちらは授業や事務仕事や雑務に忙しく、研究も出来ないどころか「はてなダイアリー」の更新も覚束無いくらいなのだ。興味の無い電話に割く時間などある訳が無い。しかも職場にいきなりかけて来るのは限りなく失礼であろう。研究室の電話は研究その他の公務に使うもので、この電話料金は私を含めた国民が納めた血税によって賄われているのだ。あ、そうか向こうからかけてきた電話だから、電話代は向こう持ちか。いやいや、しかし最近の悪徳不動産勧誘業者の中には「今までの勧誘の電話代を弁償しろ」という輩もいるらしい、何にしても早期撃退するに勝ることはないだろう。そこで私は見事にこの種の電話を打ち払う言葉を編み出した。何故これをもっと早くに思いつかなかったのか。「ただですら借金を返さなければならないのに、不動産など購入出来るか」と言えばいいのだ。一撃だ。「借金ですか?」「ええ」これで相手は諦める。しかもウソなんかではない、これは事実である。私には間違いなく借金がある。しかも返済開始時にはかなりの金額だ。ただ利息は限りなく少ないし、返済期間も非常に良心的なほど長い。しかしこの言葉一つで、今の所、全ての勧誘電話が数10秒のやりとりで穏便に終了している。

 そのうち一度「現在家はある」という回答もしてみたいのだが、向こうが「じゃあもう一軒建てましょう」と言ってくるのが怖くて、試すのを控えている。