データ解析だらけ(観測天文学者編)

 天文学の研究は、観測・理論を問わずデータ解析の連続である。観測天文学者でも実際に観測をするのは年間20日間くらいではなかろうか?最新のすばる望遠鏡などは1観測計画に対して半年に2晩くらいしか観測時間はもらえないのだ。国内であれば国立天文台岡山天体物理観測所の188cm望遠鏡で半年に7晩、同野辺山宇宙電波観測所の45mミリ波望遠鏡で半年に10日、東京大学天文学教育研究センター木曽観測所の105cmシュミット望遠鏡で3ヶ月に5晩、くらいだ。勿論これら以外にも研究に使用できる望遠鏡はあるが、如何に研究データを取得する機会が少ないかは理解して貰えるだろう。

 研究テーマにもよるが、この年間20日程度の観測で得たデータを処理し、そこから天文学的な結果を得るだけで半年から1・2年かかるケースも珍しくない。観測の後にはデータ解析地獄が待っているのだ。

 大学の卒業研究を天文学でやりたいと考えているならば、最低限キーボードには慣れておいた方がいいだろう。天文学の世界では一部を除いてUNIX系OSが動いているコンピューターを用いてデータ処理をすることがほとんどだが、初めのうちはWindowsでも構わない。キーボード入力がある程度早くて、あとコンピューター用語を少し知っておけば、UNIX系OSに慣れることはそれほど大変ではない。勿論、解析したデータから天体の情報を引き出すための天文学・数学・物理学・化学知識が揃っていることは前提だ。