天文学は応用科学。

 天文学は応用科学の一分野である。この分野の研究で糧を得るには様々な知識が必要となる。
 まず物理学。「力学」は全ての学問の基本、特に天体の運動を考えるからには「力学」からは逃げられない。また天体観測は、基本的に天体からやってくる電磁波を調べることで天体の性質や運動を理解するために行う作業である。従って「電磁気学」も基本は押さえておきたい。また「電磁気学」と絡んで「統計力学」と「熱力学」を知らなくては電磁波放射過程は理解できない。おっと観測結果から様々な力学的性質を導くためには「流体力学」も必要ですな。理論をやるなら当たり前、観測でも「相対性理論」の基本は知ってなきゃダメ。そうそう観測で得たスペクトルから物理状態を考察するには「量子力学」の知識が必要ですよ。
 また観測データを誤解なく読み解くには「誤差論」や「数値解析」といった数学の能力も必須。当然「微分積分学」「ベクトル解析」なんかは基本中の基本。他各種「解析学」なんてものも知らないと上記の数学・物理学分野は修められませんね。勿論これら全てがプロ級にできる必要は全く無い、でも聞いた事あるのと、知らないのとでは雲泥の差。天文学がやりたきゃこれくらいは勉強できてないと話になりません。最近は「天文学の裾野を広げる」という名目で「天文学は簡単で楽しい」と語る人が多いが、それはあくまで、天体を鑑賞するならの話。天文学でメシが食いたいのなら、上に書いた分野くらいは修めていて当然。僕だって物理学は苦手だし嫌いだ。しかし天文学の研究をやるためには、これらを勉強しなくては仕事にならない。それが出来ないというなら、研究者で食っていくという夢は諦めた方がキミのためだ。